「ちびっこランドこやま園」は全国展開している保育施設だが、鳥取店で児童虐待により、業務停止処分を受けた。
鳥取県は28日、認可外保育施設「ちびっこランドこやま園」(鳥取県鳥取市湖山町東2丁目165−202)で、保木本伸一園長(53)が入所児童をたたくな どの虐待をしていたほか、職員数を水増し申請していたなどとして、事業停止処分にしたと発表した。診療が必要なけがは確認されていない。
12日、匿名の通報が県にあり職員らの聞き取り調査を実施。泣いている児童のお尻をたたいたり、児童のほおに吸い付き青あざを付けたりした行為を確認した。床に誤飲の恐れのある小銭などが散乱し、衛生環境も整っていなかったという。園長は、調査に対し「たたいたことはあるが、虐待という認識はなかった」と話しているという。
以上、
保育所ちびっこランドは株式会社学栄がFC展開している保育所で、0歳児から8歳児までを対象とした教育産業の会社。保育所ちびっこランドは、北は北海道から南は沖縄まで全国595園開園しており、園児数は33,500人を超え(平成18年4月末現在)全国最大級の規模と言われていると大阪支社は掲載しているが、下記の本社のHPには開校数が100も少なく掲載している。大幅に減ったのだろうか。減ったとしたら何故だろうか?
「ちびっこランド イオモール小山園」の場合は次のように理念と特徴を記している。
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(ここから私見です)
この業務停止になった保育サービス業者が掲げる宣伝文句「保育理念」と「園の特徴」。「人に対する愛情と信頼感、人権を大切にする心を育てると共に自主・協議の態度を養い、道徳性の芽生えを培う」とほぼ誰にも不可能な、しかし目標としては大切な子育てをすると言っておきながら、園長が調べに対し「たたいたことはあるが、虐待という認識はなかった」と言う。儲け・経済・欲を目標の中心にし始めた社会のなり振り構わぬ体質がここに表れている。
全国に595園展開しているちびっこランドは三歳未満児の保育を多くしている業者です。もちろん、すべての園が悪いとは思わないのです。勤めていた認可保育園の保育方針に納得が行かず、自分でいい保育を目指そうとして始めた園長を知っています。しかし、人間として「親の知らないところで他人の乳幼児を絶対にたたいてはいけない」くらいは園長・設置者に徹底指導してほしい。それ以前に、フランチャイズを任せるのであれば、人選を厳しくしてほしい。幼児を預かる保育園の園長は、お金をだす人なら誰でもいいというポジションではないのです。
乳幼児には逃げ場がない。だから、ここまで言うのです。三歳未満児の行動には悪意がない。たたいてはいけない。帰宅して親に園であったことを的確に話すことさえままならない。たった一日の理不尽な体験が人生を左右する心の傷になるかもしれない人生の最も繊細な時期を生きている人たちです。国や地域、家族や夫婦、人々の絆と信頼関係総動員で守らなければいけない一番大切な人たちだったはず。この人たちを守ろうとすることで、昔から人は人らしくなり、社会に連帯感や道徳観が生まれていたのでしょう。
この大切な人たちを、匿名の通報があるまで日常的に劣悪な環境で保育をしながら、「豊かな感性を育て、創造力、思考力を培う」などと言う。問題なのは、こういうことを平気で言える人たち、人間としての常識が備わっていない業者(園長)が、政府の規制緩和で保育に関わり始めていること。通常の商取引だったら誇大広告、詐欺で告発されるべき宣伝文句が、保育サービスに関してはネット上に当たり前のように溢れていること。子どもの命に関わるような「嘘」を政府が取り締まろうとしない。これは一体どういうことなのか。
この業者たちの宣伝文句を政府が作った保育・子育て支援新制度のパンフレット「すくすくジャパン」の冒頭と比べてみます。
「すべての子どもたちが、笑顔で成長していくために。 すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために。 『子ども・子育て支援新制度』がスタートします。」
慢性的な保育士不足が全国に広がり、財源不足が露呈しているこの時期に、政府もまた不可能なことを利用者を増やすために平気で言う。この文章を誰が書いたのか、もう誰にもわからない。特定出来たとして、その人に「自分の子どもを育てた経験から考えてみて下さい。こんなことが可能だと思いますか?」と聞けば、可能ですと言える人はいないはず。「すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じる」のは不可能。しかもそれをもう40万人保育園で乳児を預かることで目指すのは尋常な考え方ではないのです。ここで言う「安心」と「喜び」は一体誰の、どういう種類の安心と喜びなのか。マスコミも学者も追求しない。
子育ては、親たちが時にオロオロしながら、戸惑いながら、自分を信じてくれるその子の命に感謝すること。そうすることによって、なるべく多くの子どもたちが安心することが目的の中心になっている。親を引き離すことで、すべての子どもたちの安心を実現できるはずはない。それどころか、子育てを政府の主導によって仕組みに任せてゆくことによって、夫婦や親同士の絆という社会における優しさや秩序を保つ土台が消えてゆく。国や社会というのは、人間が幼児という弱者を眺めながら調和を目指そうとする意思だと私は思います。
保育サービス業者のチラシも政府のパンフレットも、共通するのは、ちょっと考えれば誰でも嘘だとわかる宣伝文句が並べられているだけで現実味がない。しかし親としてまだ初心者でもある幼児の親たちの中には、そんなものかな、と思うひとたちが結構いるのです。こんな嘘で、国の根幹に関わる施策が進められ、現実を離れた魂のこもらない言葉が飛び交い、子育て論議に実感が伴わなくなってきています。
子どもたちが不安を感じ、彷徨いはじめている。
保育サービス業の人たちはもちろんお金のため、政府は雇用労働施策、経済対策、こちらも実はお金のため、経済優先の掛け声のもと家族を引き離そうとする。そして、親から離された子どもが、ぎりぎり笑顔で成長していくための環境、いままで保育を支えてきた理念が急速に壊れてゆく。
(新制度を追い風に、ビジネスコンサルタント会社が元気です。こちらは、こんな宣伝文句を並べます。)
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「すべての子どもたちが、笑顔で成長していくために。 すべての家庭が安心して子育てでき、育てる喜びを感じられるために。 「子ども・子育て支援新制度」がスタートします」。
政府が税金を使って国民に配るパンフレットでこう言い切ってしまうところが恐ろしい。「新制度が始まれば、すべての家庭が育てる喜びを感じられるようになる、政府がそう言っているんだから」と思う人たちがある一定数以上現れたら収拾がつかなくなる。三年以内にもう40万人保育園で預かることが「育てる喜びを感じるために」必要だと言い切る政府。そのパンフレットを配らなければいけない行政、そこにある無理と矛盾が、いま地方の保育行政における混乱と親たちの保育士に対する高圧的な態度を生んでいるのだと思います。不安と不満が高まってゆく。こんな状況で「すべての家庭が安心して子育てでき」る社会には絶対にならない。
東京都の「都福祉ファンド」の記事が保育業界ニュースに載っていました。ファンドは金儲けをしたい人の信託投資であり資産運用。福祉財政の行き詰まりを個人投資で補おうという主旨ですが、保育・子育てを金融商品にしてもいいのか。資金を集め保育園を増やしてしまってから、儲からないからと投資家が資金を引き上げ始めたら現場は一体どうなるのでしょうか。在庫が余ったので処分する、というわけにはいかない。
こんなことを始める人たちは、その儲け話の向こうに保育士たちの人生、幼児たちの日々の生活が存在していることさえ忘れているのではないか。想像出来ないのではないか。何か大切な感覚が麻痺している。
子どもたちの幼児期の質が、政府の「保育を成長産業と位置づける」という閣議決定のもとに失われてゆく。
介護保険制度で老人を孤立化させ、今頃になって政府は在宅介護を求めてくる。福祉という制度では、しょせん家族を基盤とした人間の助け合いや絆の伝承を維持することはできないのです。目の前の経済対策、財政削減、選挙に勝つことや政権維持といった、短期的な利害関係や駆け引きで国が動き、人間が老後の孤独に怯えるような仕組みをつくってしまった。それを再び「保育」で繰り返そうとしているのです。老人介護制度の失敗とは違い、保育における失敗はその影響が多面的で、将来長く引きずることになるのです。
乳幼児期の体験の重要性は国連の権利条約も、フロイトも、わらべうたも、言っている、人類にとって普遍的なものなのです。
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「保育業界ニュース」http://hoiku-news.blogspot.jp/2015/01/blog-post_32.html からー
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